やばい、Pancolar 55mmを手に入れたとたん、またまたレンズが気になってきた。

Radioactive lensesでは、有意の値が出たレンズがリスト化されているので、興味本位でどういったレンズでどのくらいの放射線量が検出されたのか調べてみることにしました。

まずは、断トツで線量が高いこのレンズ

  • Taylor Hobson Rank Sopelem 8-26mm f/1.6 C mt. Zoom
    Greater than 250CPM 1.5 mSv/hr (danger)

Taylor Hobson Rank Sopelem 8-26mm f1.6

1.5mSv/hって、、、日本人が1年間で受ける自然からの放射線量が2mSv程度だから、それを1時間チョイで受けるってかなりキョーレツ。

とはいうものの、1分間で250カウントしか放射線をキャッチしないにも関わらず、それこそフツーの空間ではお目にかかることのない1.5mSv/hの線量当量率って、ちょっとあり得ないんだけど。

考えられるとすると、長期間、標準線源による校正が行われておらず、正しい数値が表示できなくなっている、または単純にGM管が故障しているということか。

一番ありえそうなのは単位の間違い(1.5μSv/hならありえそう)か線量当量率(1時間あたりの線量)ではなく積算を見ちゃった?

いずれにせよ、ここに数値が記載されているだけであって確かめようがないし。
このレンズは以前、で250USDで落札されたようだけど、Webを調べてみても、あまり売られることもないレンズみたいです。

 

  • Macro 50mm f4.0 early 1:1 version (serial 790115)
    rear element approx 58 µSv/h

Macro Takumar 50mm f4.0

このレンズも単に記載だけでなんの証拠もないけど。

Macro Takumar 50mm f4.0は、1964年に発売された旭光学工業最初のマクロレンズで、プリセット絞り方式&等倍撮影が可能なマクロ。

1966年にハーフマクロのSuper-Macro-Takumar 50mm f4.0、1971年にSuper-Multi-Corted TAKUMAR 50mm f4.0へとリニューアルされています。

プリセット方式については、八百富カメラさんのサイトにわかりやすく説明されているのでリンク

 

いずれにせよ、Macro Takumarは持ってないので買ってもいいかな?
シリアルが7桁(1百万番台)はままありそうだけど、6桁のMacro Takumar を探すのは大変そう。

っちゅーか、中古レンズ屋に測定器持って行って測ってみたい。

 

Hexanon AR 57mm f1.2

こちらはYouTubeに測定記録がアップされていました。

レンズは不鮮明であるものの750万番台。EEプ。

YouTubeで様々な数値を表示させている中、390,000cpmって、通常の域を超えてるんですけど!!

っちゅーか、動画をよく見ると、検出器にGM管の検出窓が無いんですけど?
使っている棒はシンチレーション(線量当量率を測定する検出器)みたいなんだけど。GM管と同じで考え方でいいの?

ということで、YouTubeで測定器として使っている機材、Ludlum社のサイトで調べてみると、箱(Model 2221)はGeneral Purpose Scaler-Ratemeterと呼ばれるもので、GM管とシンチレーションの両方をサポートしている機材らしい。

また、検出器として使っているのは、Model 44-10のGamma Scintillatorと呼ばれるもの。つまりシンチレーション。
(※画面上のテロップで一瞬、Model 44-3と表示されているものはGamma Detectorと呼ばれるものだが、これには表面汚染密度(cpm)を測定するための検出窓があり、画面上には登場してない)

つまり、測定器に表示された390000という値はシンチレーションで検出された値で、一般的な表面汚染密度(cpm)を指しているものではないのでは?

と、Model 44-10のスペック欄に代表例として、セシウムでの感度は900 cpm per μR/hrという記載が。

なるほどー、900cpm=1μR/h=0.01μSv/hなので、930,000cpm=空間線量率は4.3μSv/hと言う計算で、線量当量率が求められるってわけね。

なお、YouTubeの説明欄には、

This lens probably contains thorium oxide, which causes it to be slightly radioactive. It is sometimes said that 90000 CPM = very roughly 1 uSV/hr, for this probe operating at 900V with threshold = 10mV. If so, the gamma radiation at contact with the front lens element is about 4-5 uSv/hr.
Note that this probe/meter is not calibrated at all.

って解説が。なるほどねー。

まあ、説明の最後に全く校正していないから注意、って書いてあるけど、 about 4-5 uSv/hrってのは、あながち間違ってなさそうだ。

というより、cpmの値は検出器によって異なるので、トリウムレンズの表面汚染密度(cpm)はいくつだ、って記されていても、他と比較して高いかどうかは判らない、ってことが理解できました。

ちなみにLudlum社のGM管の検出器、Model 44-3やModel 44-10を見ると、

Ludlum

測定する窓の大きさが3.5倍以上違うGM管で、それぞれ検出効率も異なれば、当然感度も異なる=表示されるcpmはGM管の種類によって何倍もの開きになる、ってことのようだ。

まあ、こういった機材にはそれぞれ乗数(係数)があって、最終的には同じ土俵で大小が比較できるんだろうけど、一般的にレンズの放射線を測っているユーザーがそこまで理解しながら測っているかどうかといえば、、、う~む。

理解できて良かった、良かった、、、じゃない。

 

現在、福島では人や物の汚染の基準を国で13,000cpmって定めているのに、測定器によって13,000cpmを超えたり超えなかったりで大丈夫なの!?

と調べてみたら、原子力安全委員会(現在の原子力規制委員会)が震災直後の平成 23 年 3 月 20 日に出した「除染のためのスクリーニングレベルの変更について」で、 日立アロカの「TGS-136 型 GM サーベイメータ(5cm 口径)を用いて計測した時の値」と明示している。

つまり、現在の日本の13,000cpmは、日立アロカ製のGM管で測った場合(もしくはこれに準拠したGM管)で、という前提条件があるのね。

 

なお、リリース時期が異なるものの、同じレンズでこちらも表面汚染密度(CPM)と線量当量率(Sv)を測ったブログが。

Konica Hexanon AR 57mm f1.2 Lens Review

こちらもシリアルが750万番のEEタイプ。(緑のEEとオレンジのEEがあるんだね。どう違うんだろう?)

 Hexanon AR 57mm f1.2

フロントで100μSv/hオーバー。(マジかよ!)

Hexanon AR 57mm f1.2

リアでも75μSv/h。

ちゅーか、リリースの時期が違うので、まったく同じ硝材を使っているわけじゃないと思うけど、方や4~5 uSv/h、方や100μSv/hって、ちょっと開きすぎのような。

ていうか、表面汚染密度(cpm)は機材によって数値が異なるので、他との比較にはならないことが分かったけど、空間線量率も検出器の種類や大きさによって数値が変わるものなんだろうか。。。

でも、これこそ世界的に、レントゲン撮影でどのくらい被ばくし、人間は1年間に2~3mSv被ばくする、といったことを世の中に説明しているわけだから、測定器によって空間線量の値が異なるようだったら混乱するのでは?

 

いずれにせよ、自分もシリアルが750万番台のEEを調達して、日立アロカのGM管やシンチレーションカウンタ(国や県や各電力会社が放射線測定に使用している測定器)で、これらの数値が正しいのか測ってみたくなった。

ただ、いいレンズだと10万くらいは覚悟なんだよなー。

 

こちらもYouTubeに測定記録がアップされていました。

なお、ebayで売られている個体(シリアル5913937)も27.2μSv/hを指しているので、測定器個体の誤差はあってもおおよそこのくらいの線量を出しているということでしょう。

Carl Zeiss Flektogon 50mm F4

うーん、これだけ線量の高いレンズだったら手に入れたいなーーー。
でもゼブラのFlektogon 50mm f4持ってるしなー。
(ゼブラのFlektogon 50mmもトリウムレンズみたいだけど、こっちは2~3μSv/hくらいみたい。→今度測ってみよう)

と勢い余って ゼブラの1世代前のFlektogon 65mm f2.8をポチっと。

Flektogon 65mm f2.8 Flektogon 65mm f2.8

なぜなら、50mmよりレアっぽいし。箱付きだし。
もしかしたら50mmのFlektogonと同じ設計思想で、トリウムレンズかもしれないし。

 

でもこのFlektogon 50mmも買っちゃうのかなー?
(65mmで結構な線量出なかったらね、って言い聞かせてガマン中)

 

今日の結論

  1. Radioactive lensesに記載されている数値は、トリウムが含まれているレンズか否かがわかるだけで、放射線の強弱については、ある一定の基準(測定器)で測定されてない(検出器によって検出効率や感度が異なる)ため、参考にならない。
    本当にどれが高い、低いを調べるには、同じ測定器を使うしかない。
  2.  トリウムが含まれているレンズをebayとかで見つけると、ポチっとしたくなる。
 

勉強になりました。

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