α7のミラーレスを手にして以降、 Carl Zeiss Jena の Pancolar や Flektogon 、Schneider-KreuznachのXenonやCurtagon、Isco-GöttingenのWestroなんとかや、A Schacht Ulmのトラベルなんとかなど、しましまのレンズに魅せられてちょこちょこ買い集めてきたわけですが、最近では中華の最新レンズもしましま模様で販売されるようになり。
でも、ずーっと買いたくても買えなかったレンズが1本だけあって、それはCarl Zeiss JenaのPancolar 55mm F1.4 (M42)。
「東ドイツカメラの全貌」によるとPancolar 55mm F1.4 は、1968年10月から1972年1月まで、東ドイツのKombinat VEB PENTACON DRESDEN社が製造した最高級一眼レフ、Pentacon Superのセットレンズとして販売され、その生産台数は4,597台。(レンズ自体は5,101本が製造されたらしい)。
また、Pentacon Superは精巧さと幅広い応用性がプロの写真家から評価されるとともに、1969年1月14日に発射されたソビエトのソユーズ4 (Союз-4) のミッションに採用されたカメラでもあり、東ドイツカメラメーカーの威信をかけたフラッグシップ機であったようです。
といった希少性の高いレンズなので、ミラーレスカメラが誕生して以降、どんどん値上がりし、昨今のebayでは35~50万越え!(円安もあるけど)
単純に高いというのもあるけど、50年くらい前のレンズだし、ちょっとリスキーな買い物だよな~。流石にここまでは手を出せないよなぁ、、、と眺めるのが関の山だったのですが、、、
ちなみに、Pentacon Superの市場価格
こちらもカメラ本体だけで10万越え。(よく見ると左側はファインダー無いし)
Pentacon Super+Pancolar 55mm F1.4は35万~70万!
35万って、ebayでカメラとレンズ別に買うよりリーズナブルじゃね?(どっちの方がリスク高いか知らないけど)
っちゅーか、70万って何がついてるのって調べてみると、モータードライブと17mのフィルムチェンバー。
ちなみにフィルムチェンバーは、モータドライブに接続する用、カメラ側のフィルム巻き上げ用の2種類があるみたい。
キヤノンもF-1の時に似たような仕組みを出していたみたいだけど、F-1って1970年代。
1960年代後半の東ドイツの工業力もそうだけど、最高級機ってハンパねー。東ドイツ恐るべし。
YouTubeで実際に動かしている動画
面白い機構だと思うけど、100歩譲ってこのモータードライブが完動品として、17mの135フィルムって現在、調達できるんだろか・・・、買えるね。
ちなみにヤフオクとか日本の中古カメラは?と調べてみると、
あれれ?ついさっきどこかで見た写真と全く同じなんだけど???
っちゅーか、これは完全に「ユーザーの手元を離れてお店に渡っている」ってことなんじゃね?(ebayが心配)
とまあ、そんなのはどうでもよくて、さらに調べてみると、老舗の中古カメラ店で
Pentacon Super
付属機材:パンカラー55mmF1.4
付属品革:ケース、元箱
評価:9-10B
特記事項:極美品
ちょっと敷居が高そうな中古カメラ店の委託販売品なんだけど、ebayなんかより断然安い!
買っちゃう?(ボーナス出たし)
ということで「購入を考えているんですけど、お店で見させてもらいたいんですけど、いいですか?」ってお店にメールすると(予約制)、「今日の午後なら対応可能です。支払いは現金です」ってすぐに返事が来たので、お金を下ろしてお店に行ってきました。
工業力が西側とそれほど差が無かったと評価されている時代の、東ドイツの質実剛健な工業製品!って感じ。
ちなみにカメラ本体のシリアルは4551なので、もし、この製造番号が生産台数通り附番されているようであれば、1972年1月の生産台数、96台のうちの1台かもしれない。
(自分の方がちょっと早いけど同い年)
ファインダーを覗くとTTL測光のゲージの他、軍艦部の窓を通じて、レンズの絞りとフィルム巻き上げ部で設定したシャッタースピードを表示させる仕組みになっており、スゲー面白いー。
まあ、電池を調達するまでは実際にTTL測光が稼働するか(正しく測光できるかも)わからないのがちょっと心配だけど。
スペックは、ドイツ人のPrakticaコレクターのサイトMike’s Praktica Home で発見。
シャッタースピードはBulbから10s, 8s, 6s, 4,s 2s, 1s, 1/2s, 1/4s, 1/8s,・・・1/2000秒と選択できるようだけど、実際にカメラのシャッタースピードのダイヤルを見るとBulbの次は1秒、1/2秒、1/4秒、、、。
どうなっているのか調べていくと、あるサイトで、
底のゼンマイを巻いてから、数字のダイヤル(2~10)をインジケーターに合わせる。
シャッタースピードをBにした場合、スローシャッター
シャッタースピードをB以外にした場合、セルフタイマー
とのこと。なるほどねー。
ということでシャッタースピードをBにした場合、確かにスローシャッターが動いてくれたものの、シャッタースピードをB以外(1/125など)に合わせた場合、シャッターが切れてからゼンマイのタイマーが動き出すので、ちょっと自分のカメラとは違う動きのような。
色々調べていくうちに、ダイヤルの数値は空白の次に緑の文字で2、4、6、8、10、続いて白い文字でV、2,4,6と振られており、シャッタースピードを1/125などに合わせ、数字のダイヤルをVに合わせたらタイマーで動きました。(Vが何秒のセルフタイマーか測ってないけれど)
ちなみに、この仕組みを解説したサイトにはこうも書いており。
「全体的に部品の強度不足&スローシャッター兼セルフタイマーの機構が華奢なので、あまり使わない方が良い」
あらま。使うの控えよう。
&シャッター巻き上げ部の一番上についているボタンはクルクル回るだけで、何するものかわからないけど(壊れているのか?それとも飾り?)。
とりあえず英語版の取説が手に入りそうなので、しばし待ってみよう。
あとは当時のPentacon Superの先進技術?を紹介しているページ(zeissikonveb.de)で内部構造の写真とかあるけれど、はんだ付けのチェーンとか見ると心配でしかないんですけど、、、。
ちなみに、Pentacon SuperはEye levelファインダーからWaist level ファインダーに交換できるんだけど、TTL測光ができなくなるのに、なんでそんなオプション用意したんだろ?
とカメラ本体の心配をしてみるけど、だいたいレンズ使う方がメインになるんだけどねーーー。(っちゅーか怖くてそんなに使えない)
ちなみにPentacon Superは開放測光に対応するためのしかけがマウント部にあり、Pancolar 55mm F1.4 にも同じく開放測光に対応するためのしかけ(ピン)が出ているレンズのため、通常のマウントアダプターで使用するためには、お作法が必要とのこと。
ドイツ語だけど、詳しく説明しているページ
https://www.dresdner-kameras.de/
英語訳を簡単に説明しているページ
[PRO]PHOTO | go and shoot
それにしても、黄変がキョーレツ。
Pancolar 50mm F1.8はメンテナンス時にUV照射してもらい、だいぶ黄色味が取れているけれど、55mmはこのまま使うことにしよう。(白黒フィルムだったらなんとか撮れるもんかな?)