■測定結果まとめ■

レンズTGS-146B
係数率(CPM)
TCS-172
線量当量率(μSv/h)
Front Rear FinderFront Rear Finder
Super-Takumar 35mm F282913,2003041.294.600.41
Super-Multi-Coated Takumar 35mm F283613,4003321.254.590.43
Super-Takumar 50mm F1.41,09021,7004301.557.900.61
Macro-Takumar 50mm F41,2701,8501240.230.550.16
Super-Takumar 55mm F1.830616,1001700.442.900.26
Super-Multi-Coated Takumar 55mm F1.831216,5001500.482.860.24
FD 35mm F2 (I)7371,6202581.142.370.36
FL 50mm F1.4 (I)1,04023,4004401.557.940.57
FL 50mm F1.8 (I)20812,8001400.261.480.15
FL 58mm F1.2 (II)7743,5303571.055.020.56
Pancolar 50mm F1.819,10016,6003895.465.400.54
Pancolar 55mm F1.45,34029,8007267.1712.21.04
Flektogon 50mm F4 (Pre Zebra)31,5005,23022313.11.670.32
Flektogon 50mm F4(Zebra)904,350890.140.890.14
FUJINON 50mm F1.427,30029,8006609.4611.31.00
EBC FUJINON 50mm F1.428,20028,9006699.4011.30.96
NIKKOR-N.C Auto 35mm f1.42,1503,6003753.134.880.61
G.ZUIKO AUTO-S 55mm F1.237,5003,52047710.24.720.69
Hexanon AR 57mm F1.233,40020,7004027.615.110.53
MC ROKKOR-PG 58mm F1.29004,7204571.137.020.72
 

自分の持っているレンズの中で、フロント側で高い係数率だったのはG.ZUIKO AUTO-S 55mm F1.2(断トツ)。
リア側で強かったのはPancolar 55mm F1.4とFUJINON 50mm F1.4だったけど、実は測定位置がちょっとずれただけでEBC FUJINON 50mm F1.4もどっこいどっこいかも。

線量当量率はフロント側で一番高かったのは断トツでFlektogon 50mm F4 (Pre Zebra)。係数率が一番高かったG.ZUIKO AUTO-S 55mm F1.2よりも線量が高かったのはレンズの径と測定器側センサーの大きさが関係しているのかな?
リア側はPancolar 55mm F1.4がトップで、FUJINON 50mm F1.4やEBC FUJINON 50mm F1.4が追従している感じだったけど、これもレンズの径と測定器側センサーの大きさが関係しているのかな?。

■黄変したレンズは撮影に影響あるか?■

デジカメにはAWBの機能があるとはいえ、どこまで補正してくれるのか?

browning

本当は同型レンズのトリウム、非トリウムで比較したかったのですが、トリウム版はそんなに黄変してなかったりして比較できなさそうなので、とりあえず35mm繋がりで、

トリウムレンズ
・Asahi Pentax:Super-Multi-Coated Takumar 35mm F2
非トリウムレンズ
・ Carl Zeiss Jena:MC Flektogon 35mm F2.4
・ Voigtlander:ULTRON Vintage Line 35mm F1.7 Aspherical S
・ SONY:FE 35mm F1.4 GM

で比較してみました。
全てα7RII、絞りはF8、AWB、左は0EV、右は+1EVで撮影しています。

Super-Multi-Coated Takumar 35mm F2

Super-Multi-Coated Takumar 35mm F2 Super-Multi-Coated Takumar 35mm F2

MC Flektogon 35mm F2.4

MC Flektogon 35mm F2.4 MC Flektogon 35mm F2.4

ULTRON Vintage Line 35mm F1.7

ULTRON Vintage Line 35mm F1.7 Aspherical S ULTRON Vintage Line 35mm F1.7 Aspherical S

FE 35mm F1.4 GM

FE 35mm F1.4 GM FE 35mm F1.4 GM

まずは、トリウムと非トリウムの差!
風景で使えるシーンはあるかもしれないけれど、人の場合は肌の色が厳しいかも。
ただ、モノクロで撮影したら意外といい味出しそうな感じがします。

それにしても、FlektogonやULTRONは青が強め、ULTRONはF8でも周辺光量落ちが顕著で(そういった設計のレンズなのかも)、レンズによってだいぶ個性があるのがわかります。
バランス的には間違いなくFE 35mm F1.4 GMなんだろうけど、個人的には、Flektogonの空の色と、FE 35mmの建物の色合いが実際に一番近い感じがしました。

 

っちゅーか、それより気になるのは、オールドレンズはなぜ0EVでこんなに暗いんだろか?
参考までにPhotoshopのヒストグラムを。左は0EV、右は+1EVのデータになります。

Super-Multi-Coated Takumar 35mm F2

Super-Multi-Coated Takumar 35mm F2 Super-Multi-Coated Takumar 35mm F2

MC Flektogon 35mm F2.4

MC Flektogon 35mm F2.4 MC Flektogon 35mm F2.4

ULTRON Vintage Line 35mm F1.7

ULTRON Vintage Line 35mm F1.7 Aspherical S ULTRON Vintage Line 35mm F1.7 Aspherical S

FE 35mm F1.4 GM

FE 35mm F1.4 GM FE 35mm F1.4 GM

 

■レンズから出る放射線はセンサーに影響するか?■

フィルム時代は、空港の手荷物検査でX線を通す際に感光しないよう、専用のバッグにフィルムを入れる対策を行っていましたが、実際にトリウムレンズから出る放射線ってデジカメのセンサーに影響するのか?

ということで、α7RIIに蓋をして真っ暗なトリウムレンズ、非トリウムレンズをつけ、ISO100、ISO6400でそれぞれ30秒撮影し、リサイズせずに中央部分を1920×1280で切りだしてみました。

まずは非トリウムレンズのSuper-Multi-Coated Takumar 28mm F3.5

Super-Multi-Coated Takumar 28mm F3.5 Super-Multi-Coated Takumar 28mm F3.5
左側がISO100、右側がISO6400

次に、リア側で結構な線量があったFUJINON 50mm F1.4

FUJINON 50mm F1.4 FUJINON 50mm F1.4
左側がISO100、右側がISO6400

画像を開くと両方のレンズでISO6400の場合、ノイズが入っているのがなんとなくわかります。(しかもほぼ同じ場所!)

ということは放射線というより電気信号的なノイズってこと?

ちなみにPhotoshopのヒストグラムでは、ISO100の場合は両方とも平均0.00だったものの、ISO6400の場合Super-Multi-Coated Takumar 28mm F3.5(左)の方がFUJINON 50mm F1.4(右)より多くの色(ノイズ)が記録されているようでした。

Super-Multi-Coated Takumar 28mm F3.5 FUJINON 50mm F1.4

これらのことから、実際にトリウムレンズから出る放射線はデジカメのセンサーに影響しないばかりか、ISO6400あたりで30秒露光すれば、レンズ関係なくそこそこノイズが記録されることがよくわかりました。(こんな極端な設定で撮影することは無いけど)

 

■トリウムレンズを使用することによる被ばくの影響は?■

2013年にスウェーデン王立工科大学(Royal Institute of Technology)で発表されたトリウムレンズの残留放射線の分析に関する文献
An Analysis of Residual Radiation in Thoriated Camera Lenses
( Jonathan Wang and Viktor Henningsson, 2013)によると、

HASSELBLADの1000F/1600F用のレンズ、Carl Zeiss Tessar 80mm f2.8 を使用した場合の影響について29ページから言及しており、

Carl Zeiss Tessar 80mm f2.8Carl Zeiss Tessar 80mm f2.8

写真家が年間240日、毎日1時間カメラを顔に向けて保持している(眼の瞳孔の直径が10mmでカメラのレンズから150mm離れた位置)と仮定し、ベータ線の眼の吸収線量を計算した場合、眼の水晶体への影響は、スウェーデン放射線防護局が設定した年間最大線量 (15 mSv/年)の0.2%であり、ベータ放射線に関して危険ではないと述べています。

また、ガンマ線も1日8時間、HASSELBLADをずーっと持ち歩いていると仮定した場合、スウェーデン放射線防護局によって設定された基準と比較して最大許容線量のわずか 0.17%となるようです。

最終的には

there are no radiation related health hazards involved in the usage of any of the camera lenses measured.

と結論付けています。

まあ、このCarl Zeiss Tessar 80mm f2.8の線量の強さが高いか低いかわからないし(測定方法が測定器をリアレンズに当てる方式ではなく、ちゃんとした分析装置で測定している)、日本の最大被ばく線量と違うじゃん、とか、HASSELBLADではなくフランジバックの短いミラーレスの場合はどうなんだよ、って多少違いはありますが、何事もやりすぎなければ影響ないってことで結論付けていいんではないでしょうか。

なお、仮にレンズ自体に10μSv/hの線量があったとしても、カメラをはさむことで、減衰と遮蔽効果でかなり数値が下がっていることが確認できます。

≪参考≫

1.普段の生活の中で受ける被ばく

我々は普段生活している中で、自然界から、または医療により被ばくしており、自然界からだけでも1年間で2mSv (2,000μSv)と言われています。

日常生活の放射線

2.福島県の帰還困難区域の設置基準

平成24年7月 原子力災害対策本部
「避難指示区域の見直しにおける基準(年間20mSv基準)について」

つまり、20mSv/y = 20,000μSv/y
1年間を365日×24時間で計算すると、 20,000÷(365×24)= 2.2831(μSv/h)

つまり、1時間あたり2.28μSvの線量当量率が1つの目安になっています。

3.福島県の汚染拡大防止のためのスクリーニング基準

原子力安全委員会の「避難区域(警戒区域)から退出する際の除染の適切な実施について」 (2011年年8月29日)を受けて、2011年9月16日より、体表面汚染スクリーニングレベル、汚染拡大防止スクリーニングレベルが13,000CPMに引き下げられ、現在もこの基準に従ってスクリーニングが実施されています。

緊急時被ばく状況における汚染した物の搬出のためのガイドライン

なお、このガイドラインで示している「一般的な GM 管式表面汚染サーベイメータ」は有効窓面積 20cm2のGM管としており、日立アロカ社のGM管、入射窓径50mmφ(入射窓面積:19.6cm2)が該当します。

4.日本のリアルタイム空間線量

原子力規制委員会が国内に設置されている空間線量計(モニタリングポスト)の測定値を公開しているサイト。

放射線モニタリング情報共有・公表システム

 

5.成田からニューヨークに飛行機で往復した際の被ばく量

JISCARD

往復で約130μSv(0.13mSv)被ばくするとされています。

国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構 航路線量計算システム (JISCARD)

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